みなさま、はじめまして。つるかめ訪問看護ステーションの責任者をしております、名嘉かつえといいます。よろしくお願いします。
すでにご存じの方も、はじめての方も含めて、市民のみなさんに何かメッセージをやはり伝えていきたいなという想いがありまして、今回参加させていただきました。
まず概要のほうから。私たちの活動の概要を簡単にお話させていただきます。私たちは仁愛会という組織の中の一つの施設です。仁愛会の理念として、地域の住民のニーズを満たす医療、信頼と人間性豊かな医療、働きがいのある職場。仁愛会の職員であることを誇れる企業。この4点を基軸にしています。つるかめ訪問看護ステーションは平成5年に設立されています。みなさんと共に年をとってきたつるかめです。
営業なのですが、月曜から金曜日、8時半から5時半、土日祝日は休みというようになっています。実際は時間外営業ということもしております。24時間の対応態勢といいまして、電話も受けるし、必要だったら訪問もします。心配なので来てっていう時も多々あります。「どうすればいいの、病院行ったほうがいい、それとももうちょっと待ったほうがいい」っていう判断をするときもあります。電話で判断する時もあるし、あとは訪問をして、「うん、やっぱりこれは行こう」と判断をして、ご家族に準備をさせ、先生に、地域の先生に連絡をし、かかりつけ医に連絡をし、先ほど山里先生がおっしゃいましたが、「診療情報提供書を先生作ってください」と夜中、先生に電話をし、あと病院にも連絡をし、この中継ぎの役を夜中にすることも多々あります。
あと、訪問時間なのですが、介護保険と医療保険で時間や回数に差はあったり料金に差はあったりしますが、大体一回の訪問は1時間前後ぐらいです。呼吸器、難病の人たちなんかはちょっと時間をかけないといけないので1時間半以内くらい掛かることが多々あります。がん疾患の最後を在宅で看取りたいという方々、がんに限らず老年期の看取りが必要な高齢者という時には、やはり1時間半、2時間ぐらいは一回の訪問でかかることが実際の現状です。
つるかめでは、実際、今現在利用登録をされている方が169名います。これは、「医療保険」、「介護保険」の二種類を含めた数字です。
年齢別比率を見ると、1位が80歳から89歳です。2位が75歳から79歳、3位に90歳以上が入ります。当施設では最高年齢者、いま107歳です。まだまだ元気におうちで暮らしています。
4位は75歳から79歳、で5位が69歳以下です。当施設での最年少は二十歳ですね。この方は特殊疾患、難病で、私たち、医療保険で訪問介護をさせていただいています。
「じゃ、どんなことを看護師さんはしているんでしょう」というところなんですが、大体9つですね。状態の観察―血圧を測ったり、先ほど山里先生がお話しされたことと、ほとんど一緒なんですが、血圧、脈、熱があるかどうか、あと酸素濃度、「酸素の取り込み大丈夫かね」ということであったり、あと内服の管理指導です。「病院を受診しました。一杯薬出されました。薬局でも説明された気がする。でも、なんだったっけね」って。薬の説明書を持って帰ってくるのですが、その説明書を見て理解するということが、非常に難しかったり、また名前も覚えきれなかったり、色の識別ができなかったり、多々あります。あと副作用についての質問。書いてはあるのですが、「これがどんなもんかね」といつも聞かれるのですが、紙だけではなくて、相手のそのおうちの方々が、お薬をもらった方々が、この薬をどう理解して、飲み間違いの無いようにすべきかということを、やはり工夫し考えながら、これはこうしよう、ああしようと、先生から受けた服薬方法、飲み方を間違いないように指導していきます。
あとは清潔、排泄、食事、睡眠。意外と簡単そうで一番難しいことです。「なかなか最近眠れなくなってきた」と、年を重ねると眠れないとか、薬の影響ですごく落ち着かなく眠れないとか、眠れない理由は一杯あるのですが、それを薬以外でどんな風にしたらいいんだろうかという相談ですね。幅広いです。すべて私たちが知っているわけではないので、私たちは投げかけられてから、とことん調べる、いろんな方法を調べる、調べて「この家族だったら、この人だったら、こういうことが合うのではないか」と考えたことをご家族やご本人に伝えます。で、生活の中に取り入れてもらうというような援助をさせてもらっています。
あと介護・療養相談。これは一般的に今テレビなんかでも言われているような、相談のことですね。
次が医療機器・チューブ・カテーテルの管理と指導。先ほどの山里先生の資料にもございましたけど、多種多様の機材がいっぱいあります。あれを見ただけで、あれを着けている状態の利用者を見ただけで、みんな引いてしまいます、介護者は。びっくりします、「出来ません」とまず言います。さわることもふれることもできませんと、とてもびっくりするのですが、おうちで先生たちが診療のときに交換をしてくれたり、また家族の力量によっては、交換の仕方を、特に既設のカニューレというものに関しては、交換を指導していく場合もあります。人それぞれです。必ず自分たちが絶対にやらなくてはいけないという訳ではないです。相談しながら、今は私たちがやろうか、先生がやろうか、あとおうちの人ができるとき、おうちの人でも意外と孫が出来たり、家族全体で考えながら、どこにどの力があるのかということを考えて管理指導を行っています。
次に介護療養中のリハビリの実施と家族の指導です。うちには頼もしいリハビリがいまして、ネットワークとノウハウを持ったリハビリのスタッフが一杯います。在宅総合センターという建物の中にもリハビリいっぱいいまして、もう「この人たち無くして私たち訪問できないぞ」というぐらい、いろんな体の動かし方や、あと、本来自分の骨と筋肉というのは自分が知っているべきなのですが、ちょっと一方的な考え方になってしまって、「いやいや違うでしょ」と、「生活では足を上げる高さはこの高さだから使う筋肉はここだよ」って、「杖を使うよね」と、いろんな事を生活の中に取り入れながら指導をしています。
あと福祉用具の助言。これは大体私たちに情報が来て、リハビリと相談をするという形のほうが多いです。またリハビリがあえてその現場を、ご家庭に訪問して、本当にどの程度必要なのかを吟味したり、助言してもらっています。
あとは自宅での看取りですね。最期までご家族が看取れるように、みて、守って、耐えていけるように、心穏やかにお互いが、そういったときに何が必要で、どう考えていけばいいのか、その先に何があるのか、ほとんどこの部分に関しては、処置をしたり、何か医療器具ではなくて、「きついよ」と「苦しいよ」ということをご家族の介護者の、または本人に対しては和らげる努力、医療的な。で、ご家族に対しては「きつい」ということを聞いてあげるということです。「そうだよね」と言って上げる人が、そばにいるということです。そういう心の援助を主体的にしています。
あとは点滴治療の管理と指導ということですが、病院のほうで治療のピークは終わりました、でも点滴必要、ここからの点滴は病院でやらなくてもいいと、病院で入院してやらなくてもいいという段階になったときに、やはり一刻でもみなさん、病院から抜け出したいと、早くおうちに帰りたいとおっしゃるのですが、そういったときに場合によっては、おうちで点滴ができるときがあります。そういったときに私たちの出番がやってきます。
訪問看護を受けるにはということで、これも先ほど山里先生が流れというところを教えてくださったので、私は簡単にお話しをします。
「訪問看護を受けたい」と、「あ、なんか聞いたことある」「受けたいけどどうしよう」と思ったとき、一番大切なことはやっぱり相談をするということです。「どうしよう、困っている」と相談をするということです。で、その相談場所はというところなのですが、一番広く活躍されているのは、病院の中、病棟の中の相談員ではないかなと思います。あとは地域の居宅支援事業所といいます、ケアマネージャーさんのいる所ですね。この後に講演があります「ライフサポート」さんも一つの施設ですね。いろんな施設がいっぱいあります。自分の住んでいる地域の最寄りの居宅支援事業所に相談におしかけてもいいかなと思います。「今こんなこと困っている」と。あとは直接、利用者家族の方から、私どものステーションにお電話があるときが最近は増えてきました。「こんなことしてもらいたいけど、訪問看護師さんでいいんですかね」とか、直接電話が掛かってくることが増えたかなとこの一年感じます。あとは市役所の福祉関係の窓口ですね。あとはみなさんに、今日は持って帰っていただきたいなと思うのは、訪問看護を利用している人達が意外と増えてきました。近隣の人に「ねぇねぇねぇ」と、「うちもこんな事してもらいたいんだけど、こんな事困っているんだけど、どんなして訪問看護婦さんに来てもらえばいいの」っていうことをやっぱり近隣住民に問いかけていただきたい。そうすると私たちにたどり着く道が開けますよということです。で、方法をまたそこで、いろいろ教えてくださるということになりますので、まずは行動を起こしてみてください。
つるかめに依頼がある相談経路ですが、先ほどお話をしました、地域の居宅支援事業所、ケアマネさんのいる所、あと病院の相談員、地域のかかりつけ医の先生方から、「こんなケースが出たんだけれども、お願いできないかな」というお話、お電話を頂くことがあります。あとは本人、家族、身内ですね、当事者、利用者、介護者その身内、お孫さんであったり、お子さんであったり、っていう身内からの電話相談があります。
よくある相談の内容と助言というところですが、いっぱいあり過ぎるのですが、大体、言ってることは一つの様な気がしました。
本人は家に帰りたい、もしくは家に居たい、と思っているんだけど見る人がいないと、このセリフが非常に多いです、最近。なぜかと言ったらやはり、核家族化であったり、独居であったり、老夫婦世帯暮らしというのも現実でしょう。同居している家族も意外といるんです。が、やっぱり同居しているお子さんたちは働いている年代です。一番働いている年代です。誰もいません、介護者に手を貸す人が。こんなことがやっぱり一番大きくて、「できません」と施設をすぐ探してしまったり、本人はおうちに帰りたいんですよ、だけど帰れる条件が揃わないので、帰りきれないという時に、まず決める前に相談をしてみてください、先ほどの相談窓口に。そうすると意外とすぐに他の病院に行ったり他の施設に行ったりではなく、あと宅老所などに行ってではなく、いっとき、やはりおうちに帰れると、過ごせるという期間が出てくるかもしれません。そのときに出てくるいろんな困りごとを私たちがきっとお手伝いすることになると思います。やはりその時にここに書かれました医療のプロ、訪問看護師さん、ケアマネさん、相談員さんなどなどを活用することが非常に大切だということをお伝えします。これは考えるのは1人より2人ということです。一人ではできないと、無理ですということです。地域を巻き込んで考えましょうということです。
二つ目が、家族みんなで何がどこまで支援できるのか一旦考えてみてください。誰にでもやってくることです。病気をしたり、老いたりということは40代の方も20年後、10年後やってくるでしょう。今の当事者70歳、80歳、90歳だけの問題ではありません。老いという人生の歩み、体の老いと病気というのをやっぱり今から関わることで、考えることで、一旦立ち止まって考えることで学習していくということもして頂きたいなというのがメッセージですね。将来の自分のために考える機会です。あとは家族と地域のプロと、悩み、まぁ文句もあるかもしれません、分かち合うということです。一人で悩みも愚痴も抱えてしまうと、長続きしません。
最後に、私たち、訪問看護師からのメッセージなのですが、もし家で受けられる介護と医療があるのでしたら、みなさんはどうでしょうかということです。介護力の問題が出てくるのですが、うちはみんな働いているからできないと決め付けず、一旦みんなと地域とで考えて見ましょう。そこに私たちの出番があるのなら、是非お手伝いをさせてくださいということです。住み慣れた家、地域、どちらで暮らしたいでしょうか。病院や施設のほうがいいのでしょうか。それは人それぞれ様々ですが、是非やはりこの在宅医療という中で、いろんな窓口ができましたし、これからネットワークが広がります。みなさんも参加しながら、私たちも参加をしながら考えていきたいし、住みやすい地域にしたいと考えおります。ご静聴ありがとうございました。